冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【後編】

Report by 簗川堅治 / 2022年2月13日~17日

3日目。朝食前にツルのねぐら立ち観察です。曇り空の中、次々とツルたちが餌場に飛び立っていきます。給餌が始まると、今度は餌場の方からどんどんどんどん戻ってきて、ものすごい乱舞です。声もうるさいほど。

今度はミヤマガラスの大群がやってきて、コクマルガラスが7羽は混じっていました。ホシムクドリの小群も観察できました。

朝食後は、ホシムクドリやコイカルを探しましたが、出会えず。次は今季、全国的に当たっている珍鳥シベリアジュリンを探しにいきました。道中、ニュウナイスズメの群れに遭遇し、しばし観察。

ニュウナイスズメ

シベリアジュリンを探す前にヘラサギとクロツラヘラサギの群れがいたので観察。シベリアジュリンはなかなか来ず、オオジュリンばかり。ようやく比較的近くにシベリアジュリンが出てきました!しかし、ほどなくして飛んでしまい、その後は結局で会えませんでした。

 

この日の最後はとある公園でサンカノゴイです。対岸のヨシ原に出るとのことで、ただただひたすらに待つのみ。目の前のバン、オオバン、ヨシガモなどで楽しみながら、待ちます、待ちます、待ちます……。しかし出てきたのはクイナくらいで、ここも結局は出会えずに終わりました。

サンカノゴイのポイント

4日目。東よか干潟からスタートです。今日は曇りなので、南向きで観察する東よか干潟には好都合です……と思ったら、なんと雪が舞い始めました。しかも強風!まさかの雪の中での東よか干潟です。

雪の中での東よか干潟

ある意味、貴重な体験ですが、参りました。まずはソリハシセイタカシギ15羽の群れを観察。日本でこんな群れを見るのはとても珍しいでしょう。いつもの顔ぶれ、たくさんのダイシャクシギ、ズグロカモメ、ツクシガモもいます。他に、ダイゼン、アオシシギ、コアオシシギ、ツルシギなどを見て、寒いので早めに引き上げました。

ソリハシセイタカシギ

次はアカツクシガモのいる池に行きました。アカツクシガモを探していたら、マガンがいました。望遠鏡で見ても強風でブレブレです。ほどなくアカツクシガモを発見しましたが、全身がよく見えなかったので移動して観察。遠いし、やはり強風でなかなか大変ながらも、なんとか全身は見れました。ホシムクドリもいるはずなのですが、強風で出てきてくれませんでした。

アカツクシガモ

 

昼食をとり、トモエガモ狙いで行った池は、ハシビロガモがたくさんいて、ミコアイサもいました。しかし、トモエガモはいませんでした。

 

最後は今津です。しかし、ここも強風で大した成果を上げられないまま、この日は宿入りしました。

5日目。今日も強風、しかも昨日よりも寒いです。福岡の最低気温は今シーズン初のマイナス。

まずはメジロガモを見に行きました。あっさりと見れましたが、嘴を背中に入れて、なかなか顔が見れません。付近にいるゴイサギやカワセミを見ている最中に、ようやく顔を出し、少し羽繕いをしました。

メジロガモ(撮影:上山功夫様)

次は超ド珍鳥狙いです。ラッキーなことに誰もいなかったので、我々だけでその鳥が出てくるのを待つことにしました。寒い上に風も強く、待つにはかなりの忍耐が必要でした。約一時間後、鳴き声とともにその姿がちらっと見えました。時間切れとなり、結局、その後は出ず、チラ見で終わってしまいました。残念!

珍鳥狙いに特化した5日間。特に4、5日目は、九州にしては異例の寒さで貴重な体験をしました。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【前編】

Report by 簗川堅治 / 2022年2月13日~17日

冬の九州と言えば、憧れの珍鳥オンパレードですが、今冬は珍鳥どころか、普通種ですら少ない異常事態です。

 

1日目。集合前までは雨だったものの、空港を出発する頃には上がり、いいスタートを切りました……と言いたいところでしたが、最初に訪れた一ツ瀬川河口では名物のクロツラヘラサギの姿はなく出鼻をくじかれました。マガモ、ヒドリガモ、コガモ、そしてミサゴなどを見て早々に引き上げ、次の場所に向かいました。

オシドリ

トイレ休憩をした道の駅では、越冬ツバメがすいすいと飛んでいました。さすが宮崎県です。

珍鳥コウライアイサのポイントに到着です。出迎えたのは200羽ほどのオシドリの群れ。かわいらしい声で「クエッ」と鳴いています。ここでもミサゴが飛んでいました。ヤマセミは声のみ。マガモやヒドリガモ、キンクロハジロはいますが、肝心のコウライアイサが見つかりません。場所を変えながら探しましたが、とうとう見つけることはできませんでした。残念!

クロツラヘラサギ

2日目。昨日の挽回をすべく、まずは海沿いの調整池へ。早速、ツクシガモとクロツラヘラサギがたくさんいました。つがいなのか、お互いに羽繕いをするクロツラヘラサギもいました。そして、ほどなくしてソリハシセイタカシギも見つかりました。今冬、全国的に当たっているソリハシセイタカシギ。ここにもいたんですね。ヨシ原ではツリスガラとオオジュリンの声もしています。ハヤブサが上空を通過したと思ったら、対岸にはオオタカの姿が。次々と出てくる鳥たちで忙しい時を過ごしました。

ソリハシセイタカシギ(撮影:上山功夫様)

続いては、外海に行かないと見られないカツオドリを陸地から、しかも至近距離で見られるポイントへ。カツオドリは我々の目の前で何度もダイビングしては、魚を捕っていました。顔が水色の♂もいます。

カツオドリ(撮影:上山功夫様)

この日最後は出水市のツルです。まずはソデグロヅルのポイントへ。あっさり見れました。隣の田んぼではカナダヅル、そしてクロヅルもいました。一ヶ所でナベ、マナ、カナダ、クロ、そしてソデグロを見ることができました。

ソデグロヅル(撮影:上山功夫様)
クロヅル(撮影:上山功夫様)

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!