冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【前編】

Report by 簗川堅治 / 2024年1月23日~27日

2022年2月の同ツアー以来の九州です。今季はどんな珍鳥に出会えるのでしょうか?

<1日目>

集合の宮崎空港を出発し、最初は珍鳥・キバラガラです。この日から九州は今季一番の寒波に覆われ、寒い中でのスタートです。しかも宮崎は強風!小鳥類観察には不向きな状況です。シジュウカラやヤマガラにちょっと騙されながら、粘り強く探したものの見つかりませんでした。池のカワセミがきれいでした。

カワセミ 撮影:K.S様

気を取り直して、水鳥観察に行きました。

観察風景

こちらは更に強風!そんな中、なんとかヘラサギやクサシギを観察し、再びキバラガラに挑戦しました。しかし、残念な結果に終わりました。宿泊先の霧島市の夜は小雪が舞っていました。

<2日目>

昨日の挽回をすべく、まずは海沿いの調整池へ。お目当てはメジロガモです。♂、♀、そして交雑種?がいる情報でした。それらを探していると、目の前にオニアジサシが飛んできて、しきりに探餌をして、我々の前を行ったり来たり。

オニアジサシ 撮影:上山様

そしてついに魚を捕らえて、海へと消えていきました。肝心のメジロガモは交雑個体がいたのみ…

メジロガモ×ホシハジロ 撮影:簗川

続いては、外海に行かないと見られないカツオドリを陸地から、しかも至近距離で見られるポイントへ。カツオドリはやや遠かったものの、我々の目の前で何度もダイビングしていました。顔が水色の♂もいます。

カツオドリ 撮影:上山様

この日最後は出水市のツルです。まずはソデグロヅルのポイントへ。あっさり見れました。

ソデグロヅルとマナヅル 撮影:上山様

他、カナダヅル、そしてクロヅルも難なく見れました。その他、大群のミヤマガラスとその中に複数のコクマルガラスも観察。シロマルもいます。

続いて、ねぐら入り前に集まったホシムクドリを観察後、今度はツルたちのねぐら入りを見て、この日は終了です。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【後編】

Report by 簗川堅治 / 2022年2月13日~17日

3日目。朝食前にツルのねぐら立ち観察です。曇り空の中、次々とツルたちが餌場に飛び立っていきます。給餌が始まると、今度は餌場の方からどんどんどんどん戻ってきて、ものすごい乱舞です。声もうるさいほど。

今度はミヤマガラスの大群がやってきて、コクマルガラスが7羽は混じっていました。ホシムクドリの小群も観察できました。

朝食後は、ホシムクドリやコイカルを探しましたが、出会えず。次は今季、全国的に当たっている珍鳥シベリアジュリンを探しにいきました。道中、ニュウナイスズメの群れに遭遇し、しばし観察。

ニュウナイスズメ

シベリアジュリンを探す前にヘラサギとクロツラヘラサギの群れがいたので観察。シベリアジュリンはなかなか来ず、オオジュリンばかり。ようやく比較的近くにシベリアジュリンが出てきました!しかし、ほどなくして飛んでしまい、その後は結局で会えませんでした。

 

この日の最後はとある公園でサンカノゴイです。対岸のヨシ原に出るとのことで、ただただひたすらに待つのみ。目の前のバン、オオバン、ヨシガモなどで楽しみながら、待ちます、待ちます、待ちます……。しかし出てきたのはクイナくらいで、ここも結局は出会えずに終わりました。

サンカノゴイのポイント

4日目。東よか干潟からスタートです。今日は曇りなので、南向きで観察する東よか干潟には好都合です……と思ったら、なんと雪が舞い始めました。しかも強風!まさかの雪の中での東よか干潟です。

雪の中での東よか干潟

ある意味、貴重な体験ですが、参りました。まずはソリハシセイタカシギ15羽の群れを観察。日本でこんな群れを見るのはとても珍しいでしょう。いつもの顔ぶれ、たくさんのダイシャクシギ、ズグロカモメ、ツクシガモもいます。他に、ダイゼン、アオシシギ、コアオシシギ、ツルシギなどを見て、寒いので早めに引き上げました。

ソリハシセイタカシギ

次はアカツクシガモのいる池に行きました。アカツクシガモを探していたら、マガンがいました。望遠鏡で見ても強風でブレブレです。ほどなくアカツクシガモを発見しましたが、全身がよく見えなかったので移動して観察。遠いし、やはり強風でなかなか大変ながらも、なんとか全身は見れました。ホシムクドリもいるはずなのですが、強風で出てきてくれませんでした。

アカツクシガモ

 

昼食をとり、トモエガモ狙いで行った池は、ハシビロガモがたくさんいて、ミコアイサもいました。しかし、トモエガモはいませんでした。

 

最後は今津です。しかし、ここも強風で大した成果を上げられないまま、この日は宿入りしました。

5日目。今日も強風、しかも昨日よりも寒いです。福岡の最低気温は今シーズン初のマイナス。

まずはメジロガモを見に行きました。あっさりと見れましたが、嘴を背中に入れて、なかなか顔が見れません。付近にいるゴイサギやカワセミを見ている最中に、ようやく顔を出し、少し羽繕いをしました。

メジロガモ(撮影:上山功夫様)

次は超ド珍鳥狙いです。ラッキーなことに誰もいなかったので、我々だけでその鳥が出てくるのを待つことにしました。寒い上に風も強く、待つにはかなりの忍耐が必要でした。約一時間後、鳴き声とともにその姿がちらっと見えました。時間切れとなり、結局、その後は出ず、チラ見で終わってしまいました。残念!

珍鳥狙いに特化した5日間。特に4、5日目は、九州にしては異例の寒さで貴重な体験をしました。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!