9世紀に西チベットで樹立された仏教王国。グゲ王国の勢力範囲は西チベット~インドのラダック・スピティ地方へとまたがります。10世紀、グゲの王であったイェシェ・ウーは仏教再興に熱心で、翻訳僧リンチェンサンポを当時の仏教先進国であるカシミールへ留学として派遣し、当時の最先端であるカシミール様式の寺院、建築、壁画などを導入しました。また11世紀にはインドの高僧アティーシャを招聘。アティーシャの教えはカーダム派を生み、そして現在のチベット仏教では主流と呼ばれるゲルク派がそこから派生する流れとなりました。西チベットにあるグゲ王国の遺跡としては、ツァンダ市内にあるトリン僧院とツァパランにあるグゲ遺跡(王宮・僧院など)が残っています。ツァパランでは破壊が激しいながらもグゲ様式(カシミール様式の影響下にある)の仏教壁画をみることができます。
<ピヤン・トンガ石窟概要>
この遺跡は10世紀から17世紀のグゲ王国時代に属する石窟で、西チベットに位置しています。1000を越える石窟の数が1キロに渡り広がる規模から、グゲ王国の一時期にはこの地帯が政治、経済、宗教のセンターの一部であったこと、石窟壁画が時代変化に富み、多彩な内容をもつことから長期にわたり造営されてきたと考えられます。
壁画のスタイルはラダックのアルチ僧院やスピティのタボ僧院と密接な関係が見られとともに石窟構造は中央アジアの石窟寺院とも多くの共通点を見いだせます。
●トンガ遺跡
ピヤン村から約2キロ離れたトンガ村近郊の岸壁に彫られた石窟寺院。南北約60メートルに渡り洞窟が並んでいます。50窟の石窟のうち現在見学可能な窟は3窟程度。ピヤン石窟よりも壁画の保存度と規模は素晴らしく、1号窟の内部天井は中央アジア起原のラテルネンデッケ(三角隅持ち送り形式)の建築手法、2号窟は同心円的なドーム状天井がみられます。四方の各壁面には多種多様のマンダラが赤色と青色を基調に描かれています。その他千体仏、菩薩、女尊、飛天、様々なポーズの護法神、獣面人身像が狭い石窟内部に隙間なしに表現されています。
※見学には事前に許可を取得する必要があります。但し、事前に許可を取得しても現地で観光に制限が設けられることがあります。 |