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千島列島のシジュウカラガン Cackling goose of Kuril Islands

千島列島のシジュウカラガン Cackling goose Kuril Islands Ekarma Shashikotan Island (10)

千島列島のシジュウカラガン -  千島列島が日本の統治下だった時代に絶滅し、再導入されたシジュウカラガンの群れと出会いました。

越冬のため日本に飛来していたシジュウカラガンの繁殖地は千島列島の中部の島でした。戦前、千島列島が日本の統治下だった時代に、アオギツネ(ホッキョクギツネの暗色型)が養狐(ようこ)のために持ち込まれました。その結果、シジュウカラガンは絶滅へと追いやられ1935年に宮城県で数百羽の群れが確認された後は、見られなくなっていました。

アラスカのアリューシャン列島でも同じように毛皮産業が盛んだったことからアカキツネなどが島に導入され、シジュウカラガンは絶滅へ・・・そんな中、1962年にアリューシャン列島で繁殖しているシジュウカラガンが発見され、保護と増殖の努力が行われ個体数が回復しました。アメリカで繁殖させたシジュウカラガンを譲り受けた「⽇本雁を保護する会」と仙台市⼋⽊⼭動物公園が、ロシアの研究者と連携し、1995年から2010年にかけて千島列島のエカルマ島で放⿃を⾏ってこられました。

千島列島のシジュウカラガン Cackling goose Kuril Islands Ekarma Shashikotan Island (12)

さて、シジュウカラガンを目撃した時のことです。「千島列島アドベンチャークルーズ」のツアーでシャシコタン島の東岸を小型ゴムボートで移動しているとき、「あ、何、あの鳥?」「シジュウカラガンだ~!!」飛んでいるシジュウカラガンを発見。ラッキーにも比較的近くに着水。

参加者のバードフォトグラファー、海鳥案内スタッフは大興奮。その他の参加者は、「そんなにすごいことなの?」と興味津々。

千島列島のシジュウカラガン Cackling goose Kuril Islands Ekarma Shashikotan Island (8)

中千島で繁殖するシジュウカラガン。くびに白い輪がない個体が幼鳥とのこと、飛び立たせないように距離をおいてゴムボートで接近。

千島列島のシジュウカラガン Cackling goose Kuril Islands Ekarma Shashikotan Island (11)

千島列島、シャシコタン島を背景に飛ぶシジュウカラガン。

現在日本に飛来するシジュウカラガンは、中部千島のエカルマ島で放鳥したものの内、日本への渡り経路を学習した鳥が、その後家族群となり飛来を繰り返すうちにその数は8000羽以上まで増加しました。

このシジュウカラガンの目撃は2018年の8月半ばのこと。その時から日本に飛来するシジュウカラガンを一目見たいと思っていましたが、なかなかその機会がありませんでした。そしてコロナ禍の2020年の冬、西遊旅行が日本のツアーを多く手掛けるようになって、ようやく日本でシジュウカラガンを見る機会に恵まれました。

蕪栗沼のシジュウカラガン Cackling goose Kabukurinuma

蕪栗沼のシジュウカラガン。こんなにいるんだ、とびっくりです!!

千島列島へはこれまで9回遠征ツアーを行っていますが、シジュウカラガンを見たのは2018年のこの遭遇と2019年6月にエカルマ島で遠方に見た2回だけです。2020年はコロナで訪問できませんでしたが、個体数が増えていることを祈ります。私たちも、早く千島列島を再訪できる日を待っています。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : Aug 2018, Shashikotan Island, Kuril Island, Russian Far East

Reference : 日本雁を保護する会・呉地正行さま

※2018年のこの遭遇の記事はネットニュースなどにも配信され、詳細なシジュウカラガンの再導入や保護の取り組みの説明記事がありますので検索して見てください。

千島列島で出会ったシャチ

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (2)

2019年夏の「千島列島バードスペシャル」のツアーで出会ったシャチのグループです。「バードスぺシャル」なのに「シャチスペシャル」とも呼べるシャチとの出会いがありました。

この日は朝からチリンコタン島(知林古丹島)を訪問し、夕方にエカルマ島(越渇磨島)を訪問するまでの間をシアシュコタン島(捨子古丹島)の海岸にある日本軍の上陸記念碑を訪問しようとして船を走らせていました。

シアシュコタン島(捨子古丹島)の海岸のすぐそばでシャチの背びれを発見。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (1)

すぐに船内アナウンス。この日は急いでなかったのでしばらくシャチの様子を見てゆっくり追いかけることにしました。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (8)

船のそばに現れました。雄と浮上してきた子シャチ。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (9)

海面がないでいるうえに透明度も高く、水の中のシャチが良く見えました。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (6)

前方を行くシャチとその後を泳ぐシャチ。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (11)

グループが並んだ瞬間は船の甲板で歓声があがりました。

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (4)

みんなもう夢中。前にも右にも左にも、船の周りはシャチ!

千島列島 シャチ Killer Whale Orca Kuril Islands シャシコタン島 (3)

千島列島のクルーズではシャチと出会うチャンスはあるものの、船の周りをシャチに囲まれた、こんなに素敵な出会いは初めてでした。

Photo & Text  :Mariko SAWADA

Observation :  Jul 2019, near Shiashkotan Island, Kuril Islands, Russian Far East

Special Thanks : Nik Pavlov &  Afina

★2020年の千島列島クルーズは11月ごろ発表予定です。

海鳥の聖域・中千島 エカルマ島の海鳥

千島列島 エカルマ島 Ekarma エトピリカ (2)千島列島の中部に位置するエカルマ島。仙台市八木山動物公園・日本雁を保護する会とアメリカ・ロシアの研究者によるシジュウカラガンの回復・復元計画でシジュウカラガンが放鳥された島としても知られています。

島は断崖に囲まれ上陸する地点もなく、天敵のキツネもおらず本来の千島の自然が守られ、海鳥の一大繁殖地となっています。シジュウカラガンの放鳥ではヘリコプターでのアクセスだったそうです。私たちは母船アフィナ号からゾディアックで島の北側、西側、南側の海岸部を探検。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ツノメドリ(6)

島の北側は海藻がびっしりと海岸を多い、なかなか近づくことができません。霧の中をクルーズしているとツノメドリを発見。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ツノメドリ(8)

そして海岸の岩場にいたツノメドリたち。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ウトウ(4)

ウトウの幼鳥が1羽。9月に訪れた時にもシュムシュ島付近でウトウを見ましたがいずれも幼鳥でした。成鳥はいずこに。

千島列島 エカルマ島 Ekarma エトピリカ

島の南側はエトピリカの繁殖地でした。どんどん飛んできます。

千島列島 エカルマ島 Ekarma エトピリカ(3)

お魚くわえたエトピリカ。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ウミバト(10)

エカルマ島の西側の小さな入り江でウミバトを見つけました!たくさん岩に乗っています。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ウミバト(9)

昆布の海の上を飛ぶウミバト。このあたりの海も昆布でさえぎられてゾディアックボートを動かすのは大変です。

千島列島 エカルマ島 Ekarma ウミバト (12)

船を近づけてくれました、岩の舞台にのるウミバトたちです。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Aug 2018, Ekarma Island, Kuril Islands, Russian Far East

Special Thanks to Afina & Nik Pavlov

★2019年の「千島列島エクスペディションクルーズ」発表しました!海鳥の繁殖の季節!千島列島に詳しいクルーといく人数限定企画です。

千島列島バードスペシャル 北の海鳥の大繁殖地「中千島」へ★2019年6月27日発11日間

海鳥の聖域 千島列島探検クルーズ★2019年6月15日発13日間★探検隊長として自然写真家・寺沢孝毅氏が同行。(外部リンク)

千島列島アドベンチャークルーズ シュムシュ島からウルップ島まで★2019年6月4日13日間