月別アーカイブ: 2016年1月

スリランカゾウの話

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (3)

植民地支配が始まる前のスリランカには、4万頭以上の野生のスリランカゾウが生息していたと言います。。それがヨーロッパ植民地時代に激減し、1970年には2000頭にまで減ってしまいました。特にイギリス領セイロン時代のハンティングはひどいもので、一人で1500頭もの象を撃ったイギリス人将校もいるほどです。ある記録によると、1829年から1855年のわずか26年の間に6000頭の象が射殺されました。1986年、スリランカゾウは絶滅危惧種に指定され、ようやく保護の対象になりました。人と象との住み分けのために電子柵が設けられたり、孤児を救い、自然に戻す試みも行なわれています。現在、象の数は5000頭ほどにまで回復しましたが、未だに密猟などによって年間約100頭が犠牲になっていると言われています。

野生象の保護施設の中で有名なのは、ピンナウェラの象の孤児院です。ここでは観光客が象たちに出会い、かわいい子象を見ることができますが、象たちは野生にもどることはありません。

ピンナウェラのゾウの孤児院の様子です。

ピンナウェラ (1)

ゾウの赤ちゃんにミルクをあげることができます。(追加料金が必要です)

ピンナウェラ (3)

ピンナウェラの象の孤児院の水浴びタイム

ピンナウェラ (2)

係員が丁寧にゾウの体を洗います。ゾウさん、至福のひととき。

ここではゾウの野生化は行われず、シギリヤのゾウサファリや寺院で働くゾウ、「働くゾウさん」になります。

スリランカでは、牙を持つ象は少なく、オスの7%にも満たないと言われています。牙のある象は神聖視され、通常の象が「エレファント」と呼ばれるのに対して、特別に「タスカー(牙あり)」と呼ばれます。スリランカで最も有な祭り「ペラヘラ祭り」で仏歯を運ぶ象はもちろんタスカーです。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (2)

(写真はウダ・ワラウェ国立公園併設の博物館展示品を撮影したものです)

一方、ウダワラウェ国立公園の施設では、保護した象に対して「できるだけ人間との接触を少なくし、野性に返す」取り組みが行なわれています。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (3)

ウダ・ワラウェのElephant Transit Home(一時的にゾウが通過する家、という意味)での授乳タイム。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (1)

事故にあったのでしょうか、痛々しい足をした子ゾウもいました。人と野性のゾウが一緒に暮らすスリランカではゾウの事故は絶えません。

やっぱり、ゾウは野性の姿が一番です。

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (2)

野性のゾウが大集合することで有名なミンネリヤ国立公園。砂を浴びるゾウさん。

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (1)

野性のゾウのダイナミックな優しさ、すごいです。

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May 2014 Uda Warawe Elephant Transit Home,  Jul 2014 Minneriya National Park, Jun2015 Pinnawala Elephant Orphanage.,

Reference :  Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(EN)

ミンネリヤ国立公園のスリランカゾウ

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (2)

ミンネリヤ国立公園 Minneriya National park のスリラカゾウの様子です。

ミンネリヤ国立公園は、1938年に野生動物保護区に指定された地域が、ミンネリヤ貯水池と野生動物の保護を目的に1997年に国立公園に昇格。この貯水池は3世紀マハセン王によって作られた、歴史的建造物でもあります。

スリランカ中央部が乾季を迎え各地が乾燥し始めるころ、スリランカゾウたちが水場を求めてミンネリヤへとやってきます。その数は200頭とか、多いときには500頭とか・・・。雨の多い時期はどうかというと、国立公園内が水浸しでサファリカーが入れない状態になります。

ゾウさん大集合!しているミンネリヤ国立公園の写真です。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (13)

アマサギ Cattle Egret をしたがえてゾウさん登場。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (12)

水辺にはゾウさんファミリー。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (4)

ミンネリヤ国立公園中央部はスリランカゾウでいっぱいです。もともとこの公園内に通年通しているグループに加え、水を求めて集まってきた周辺地域のゾウたちで賑います。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (14)

興奮のサファリ。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (7)

スリランカでは、牙を持つ象は少なく、オスの7%にも満たないと言われています。牙のある象は神聖視され、通常の象が「エレファント」と呼ばれるのに対して、特別に「タスカー(牙あり)」と呼ばれます。スリランカで最も有な祭り「ペラヘラ祭り」で仏歯を運ぶ象はもちろんタスカーです。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (10)

これはミンネリヤ国立公園の住人でもある「カネヒラ」という日本っぽい名前のメスのゾウが観光客のサファリカーに突進しているところ。「カネヒラ」はいつもピリピリしていて、こういうう威嚇的な行動に出ることで知られている固体です。車を襲うのではないかとびっくりしたのですが、襲うフリだけして帰っていきました。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (5)

観察ポイントで車を止めていると、ゾウさんが・・・

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (11)

ラブラブぞうさん。

ミンネリヤ国立公園では、いろんな野生のゾウの活動を見ることができます。ネパールやインド、スリランカで「働くゾウさん」を見た方も多いはず。野生のゾウの自由で、優しい姿も是非!

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May, Jul 2014, Jun2015, Minneriya National Park, Sri Lanka

Reference :  Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(EN)

 

ミンネリヤ国立公園 Minneriya National Park(スリランカ)

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (3)

スリランカの中央部、有名な世界遺産のシギリヤ・ロックやポロンナルワなどの遺跡がある付近に、「スリランカゾウ大集合」で知られるミンネリヤ国立公園Minneriya National Park があります。

この地域は1938年には野生動物保護区に指定されていましたが、1997年に国立公園に昇格。ミンネリヤには3世紀マハセン王によって作られた巨大なミンネリヤ貯水池があり、この水源と野生動物が保護されています。

スリランカ中央部が乾季を迎え各地が乾燥し始めるころ、スリランカゾウたちが水場を求めてミンネリヤへとやってきます。その数は200頭とか、多いときには500頭とか・・・。

ミンネリヤ国立公園はスリランカゾウ以外にも野生動物・野鳥を観察できます。水が豊かな公園内では特に水辺の野鳥が豊富です。

ミンネリヤ国立公園のサファリの写真です。

レオパードの足跡

これは、レオパード(スリランカヒョウ)の足跡。国立公園内に入ってすぐにドライバーが見つけました。確かにレオパードはいるようですが、ガイド&ドライバーいわく、出会うことは非常に稀だと。

トクマカク

トクマカクサル Toque Macaque 、スリランカの固有種です。Toque(トク)は、縁のないタイプの帽子のことで、頭の毛のスタイルからこの名前がついたそうです。ゲート付近の木の上でココヤシを食べていました。

インドトキコウ スリランカ (2)

インドトキコウPainted Stork の群れ こっちを向いています・・・

インドトキコウ (2)

インドトキコウPainted Stork の見事なオレンジ色の顔、本当に鮮やかです。

コウハシショウビン スリランカ

コウハシショウビンStork-billed Kingfisher  太くて赤くて立派なくちばしです。

ゴイサギ スリランカ

ゴイサギ Black-crowned Night Heron 夜行性のサギで、昼間はグループ単位で止まり木にいます。

シロエリコウ スリランカ

シロエリコウ Woolly-necked Stork  英名も和名もそのまんまですね。

ウオクイワシ ミンネリヤ国立公園 (3)

ウオクイワシGrey-headed Fish Eagle が魚を運んできました。

シロスキハシコウの群れ スリランカ

離れた場所にたくさんのシロスキハシコウ Asian Openbill  が。

インドトサカゲリ ミンネリヤ国立公園

インドトサカゲリ Red-wattled Lapwing  この鳥はスリランカの国立公園の水辺に必ずいます。

ソリハシオオイシチドリ スリランカ

ソリハシオオイシチドリ Great Thick-knee

ムラサキサギ スリランカ

ムラサキサギ Purple Heron

コハゲコウ スリランカ

インドトキコウPainted Stork 、コハゲコウLesser Adjutant 、 ホシバシペリカンSpot-billed Pelican。

ミンネリヤ効率公園 スリランカ

国立公園中央の水場は野鳥の楽園でした。アオサギGrey Heron 、カワウGreat Cormorant、インドヒメウIndian Cormorant、アジアコビトウLittle Cormorant、ヘビウ Darter、Spot-billed Pelican ホシバシペリカン、Grey Heron アオサギ・・・本当に、楽園。

スリランカゾウ ミンネリヤ国立公園 (1)

そしてスリランカゾウの子供。ゾウの群れが子供を守りながら移動し、水辺の草を食む光景、これも楽園です。

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May, Jul 2014 Minneriya National Park, Sri Lanka

Reference : Helm Field Guides “Birds of the Indian Subcontinent”, Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(EN)

 

インレー湖のオオバン(ミャンマー)

オオバン インレー湖 Common Coot (5)

ミャンマーのインレー湖で出会ったオオバンたちです。

オオバン(Common Coot またはEurasian Cootとも)は夏はユーラシア大陸北部の湖沼地帯で繁殖し、夏に東南アジア、アラビア半島、アフリカの一部、そして日本に渡り越冬します。日本では琵琶湖にで越冬するオオバンが増えた、とニュースで見たことがあります。

ミャンマーのシャン州にあるインレー湖にはInle Wetland Wildlife Sanctuary という野鳥保護区があります。以前はたくさんの野鳥が観察できたそうですが、インレー湖の「フローティング・ガーデン」で使用される農薬の影響で野鳥が減ってしまったとも言われています。

オオバン インレー湖 Common Coot (1)

12月半ばのインレー湖です。厳しい朝もやの中、オオバンたちの群れに出会いました。この時期のインレー湖は朝から9時頃まで朝もやで覆われます。

オオバン インレー湖 Common Coot (3)

私たちがボートで近づくとオオバンたちが水面を走り始めます。

オオバン インレー湖 Common Coot (4)

大きな水かきのついた足で水面を走る姿は見事。

オオバン インレー湖 Common Coot (11)

朝もやの中、ボートからオオバンを狙うカメラマンさんの姿。

オオバン インレー湖 Common Coot (2)

このオオバン、一番気になるのは「足」。木の葉状の水かきがついています。

オオバン インレー湖 Common Coot (6)

気になる「木の葉状の水かき」の足。

オオバン インレー湖 Common Coot (7)

水面を走るように飛び立っていく姿は何度見ても、何度見ても飽きません。

オオバン インレー湖 Common Coot (9)

朝もやが上がりました。チュウサギ Intermediate Egretのそばをオオバンの団体さんが泳いでいきます。冬の季節のインレー湖は朝9時ごろまでは霧で覆われていますが徐々に晴れてきました。

オオバン インレー湖 Common Coot (10)

オオバンたちが、晴れたインレー湖の空に飛び立っていきました。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Dec 2015, Inle Lake, Shan State, Myanmar

Reference : Helm Field Guids” Birds of South East Asia”, Birds of Myanmar, Wikipedia(JP)

 

スリランカのレオパード(スリランカヒョウ)と出会う-2

スリランカのレオパード(2) (5)

スリランカのレオパードのサイティング記録です。

★レオパードとヤーラ国立公園について 「スリランカのレオパード(スリランカヒョウ)と出会う-1」

7月のヤーラ国立公園は乾燥し、公園内の水場が乾きはじめていました。例年より雨が少なく、公園内の水場を潤すための給水車が出動。9月には乾燥しきってしまい、公園が閉鎖されることもあります。

乾燥したヤーラ国立公園 (2)

いつもはスリランカゾウが水浴びをしている場所もこの通り。わずかな水を求めて動物たちが集まっています。

乾燥したヤーラ国立公園 (1)

水場にはアクシスジカ Spotted Deer、イノシシ Wild Boar、シロエリコウ Woolly-necked Stork、ハヌマーン・ラングール Grey Langur 達が。

乾燥したヤーラ国立公園 (3)

突然、動物たちがいっせいに逃げたので、よく見てみると、ヌマワニMugger Crocodileがハヌマーン・ラングールを捕食していました。目の前で飲み込まれていきました。

乾燥した公園内を移動していたら「レオパード目撃情報」が入ってきたのでさっそくポイントへ。すでに30台を越えるサファリカーが集まっていました。「レオパードは?」と聞くと「茂みの中で寝ている」と。お昼寝から目が覚めたレオパードが水を飲みにくるチャンスを狙って、待つことになりました。そして間もなく、レオパードが登場。

スリランカのレオパード(2) (9)

茂みから現れた子供っぽいレオパード君。

スリランカのレオパード(2) (10)

狙いの通り、水場へと歩き始めました。

スリランカのレオパード(2) (2)

足の指先まで、模様が・・・たまりません。

スリランカのレオパード(2) (3)

横から見たレオパード

スリランカのレオパード(2) (7)

たくさんのサファリカーに見守られる中、水場に到着。

スリランカのレオパード(2) (8)

シャッター音が鳴り響く中、緊張した表情で水を飲むレオパード君

スリランカのレオパード(2) (11)

立ち上がると、再び茂みの中へ。

ショータイム終了、緊張の時間が終わり、サイティングを堪能したカメラマンやツーリストが満足げにその場を去っていきました。

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jul 2014, Yala National Park, Sri Lanka

Reference : Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(JP)(EN)

オマーンのラクダとアラビアテリムク

アラビアテリムクとラクダ オマーン (8)

オマーンではラクダは砂漠より海岸にいることが多い・・・オマーンを旅して10日目、このことに気がつきました。首都マスカットを中心とする北部ではラクダを見かけることはほとんどありませんが、南部ドファール地方はラクダがたくさん放牧されています。しかも海岸で。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (7)

海岸で草を食むラクダたち、中には海草を食べている子も。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (13)

海岸であごを出して寝ている子供ラクダたち。この地方でラクダを放牧しているのは「ジェバリ」と呼ばれるラクダ放牧をなりわいとしている人たち。都会から来たオマーン人のガイドはまとめて「ベドウィン」と呼んでいます。オマーンではミルク用、肉用、レース用にラクダが飼育されています。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (10)

ラクダの耳を掃除するアラビアテリムクを発見。アラビアテリムク Tristram’s Starlingはアフリカ~アラビア半島西側で見られるムクドリで、オマーンではこのドファール地方でだけ見られます。羽を広げたときに羽の半分が茶色くみえることから、トリストラムクリバネテリムクとも呼ばれています。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (11)

ラブリーな光景。

アラビアテリムク

左側の頭が青っぽいのがオス、右側の頭が黒っぽいのがメスです。ドファール地方の海岸のあちこちで観察され、特にラクダと一緒にいることが多い鳥です。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (5)

ラクダたちが次の放牧地へと移動していきます。

アラビアテリムクとラクダ オマーン (6)

アラビア半島の海岸を闊歩するラクダたちでした。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Nov 2015, Mughsayl, Fizayah – Oman

Reference : Princeton Field Guides “Bird of the Middle East”, Wikipedia(EN)