カテゴリー別アーカイブ: ウミスズメ科

天売島の人気者、ケイマフリの魅力

2023年の夏を天売島で過ごした姫野からのレポートです ♪

天売島で不動の人気を誇る海鳥と言えば、ケイマフリです。もともと、アイヌの言葉で足の赤いを意味するケマフレという単語から、和名もケイマフリとなりました。その名の通り、足が赤いだけでなく、口の中も同じ赤色であるため、岩場で足を見せながら口を開けて求愛する姿を観察した方はその美しさに必ずというほど魅了されます!

天売島に生息する他のウミスズメ科の鳥に比べ飛び立ちも上手なため、水面から飛び立つ時は、水面を走るようにしながら助走をつけます。(そのほかの2種ウトウ、ウミガラスは、水面で羽ばたきながら半分泳ぐようにして助走をします)

その際に見られる、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの赤い足の輝きは非常に美しく、これを見るためだけに天売島へいらっしゃる方も。

繁殖期後期の6月後半ごろからは餌をヒナに咥えて持ち帰る姿も観察できます。

イカナゴやギンポの仲間など、多様な餌を運ぶ姿も大変魅力的です。

ケイマフリの魅力に魅せられた天売島在住の写真家・寺沢孝毅さんはケイマフリという名前の日本酒を作られたり、ご自身の船にもケイマフリを描くほどです。

皆さんもぜひ、ケイマフリに会いに天売島にお越しください。

 

Image & text: Wataru HIMENO

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夏のアラスカ、インサイドパッセージで出会った生き物

7月の東南アラスカ・インサイドパッセージの船旅で出会った海に暮らすいきものをご紹介します。ザトウクジラの「バブルネットフィーディング」狙いのツアーで、日中はクジラを求めて航行し、夕食前に近くの島の湾に停泊するのですが、その停泊地のマダラウミスズメやラッコの数に驚きました。夏は日が長いので停泊地についてからもたっぷりと船のそばにやってくる生き物を観察することができました。

>>ザトウクジラのバブルネットフィーディング in アラスカの記事はこちら

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

繁殖羽のマダラウミスズメ Marbled Murreletです。日中は距離があり撮影が難しいのですが、停泊地では船の比較的近くを浮いていたりしていました。千島列島やカムチャッカ半島のクルーズでは観察できたことがなく、この出会いはとてもうれしいものでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet はオホーツク海~アリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなウミスズメ科の海鳥。繁殖羽は褐色がかりまさにまだら色にみえることから英名も和名も「まだら」です。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

非繁殖羽の マダラウミスズメ Marbled Murrelet。小さなニシンを銜えて飛んでいる姿は大変ステキでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet 御一行様。多い時は何十羽も一緒に浮かんでいました。船が近づくとペアごとにどんどん飛んで行ってしまう感じです。

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet : Photography by Morihiko HAYAKAWA

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet の中間羽ではないかと思ってる個体です。コバシウミスズメはアリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなくちばしのウミスズメで、レアです。

ウミガラス Common Guillemot、日本では「オロロン鳥」と呼ばれ、天売島にのみ繁殖しその数およそ100羽ですが、北太平洋・北大西洋・北極海には広く分布し、今回はペアでいる姿をよく見ました。

そしてマダラウミスズメと同じような場所にいたのが、ラッコ Sea Otter。ラッコは3つのグループに分かれ、この地域で見られるのはアラスカ・アリューシャン列島の亜種ラッコです。日本では霧多布岬に数頭いるだけですが(日本のラッコは亜種チシマラッコ)各地の「湾」にたくさんいました。

シャチ Killer Whale : Photography by Seiji TACHI

今回の7泊8日の船旅ではシャチ Killer Whale は単独のオスを一度見ただけでした。イシイルカ Dall’s Porpoise Dolphinは何度もみましたが、とても活発ですばやく泳ぐので写真がちゃんと撮れませんでした。

ザトウクジラ Humpback Whaleは、あちこちで数個体が一緒にいるのを見ましたが、バブルネットフィーディングを行う群れはどこにでもいるわけではありません。バブルネットフィーディングの観察については別のブログにて。

海岸にはハクトウワシ Bold Eagleの姿が。成鳥より若鳥の割合の方が多いようです。

2羽のハクトウワシ。魚をうばいあっていました。

アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope 、小さくて美しい海鳥です。海上を集団で移動したり、波の合間に浮いていました。北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬する、移動距離のとても大きな海鳥です。

集団で飛ぶ姿がとても美しい、アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope。

ステファンズ・パッセージ (Stephens Passage) のブラザー島 (The Brothers) のトドのホールアウト。ホールアウト”Haulout “は年中、いつでもトドが集まって休憩したりしている場所のことです。繁殖を行う場所は “Rookeries” と言い区別されています。

ホールアウトのトドたち。大きなオスはおらず、若い個体が集まっていました。濡れているからだと乾いている体で色がだいぶ異なりますね!

ホルカム湾 (Holkham Bay) では氷塊の浮かぶ海にアラナミキンクロ Surf Scoter がたくさんいました。

アラナミキンクロ Surf Scoter : Photography by Morihiko HAYAKAWA

アラナミキンクロ Surf Scoterのオス。

近い海域の岩場です。ウミバト Pigeon Guillemot のペアが何組も!

クロミヤコドリ Black Oystercatcher、北米大陸の太平洋岸、アリューシャン列島だけで見られるミヤコドリの仲間です。

チシマシギ Rock Sandpiper、非繁殖羽の個体です。チュコトカ半島、アラスカ西部、アリューシャン列島で繁殖し、冬は北アメリカ西海岸、千島列島に渡り越冬します。

チシマシギのいた同じ岩相にいた、ゼニガタアザラシ Harbor Seal。体の色には暗色型と明色型があり、「銭形」の模様はカモフラージュになり天敵に狙われにくくなる効果があるようです。

同じ岩礁の大きめの島にはハクトウワシが巣をつくっていました。ハクトウワシは、鳥類の中で最大級の巣をつくることで知られています。

ツアーの最終日に見た生き物は、ヒグマ Brown Bear。まだサケの遡上には少し早く、小川ではなく草地をうろうろしていました。

ヒグマ以外に海岸に現れたのはミュールジカ。アラスカからカナダのブリティッシュコロンビアにかけての海岸の森に暮らすものは Sitka Deerと呼ばれる亜種ミュールジカです。今回は湾の航行中に何回か見かけました。

その他、ワタリガラス Common Raven、ヒメコバシガラス Northwestern Crow、ミミヒメウ Double-crested cormorant、ゴマフスズメ Fox Sparrowを見ました。

ザトウクジラのバブルネットフィーディングがメインのツアーだったため、最初は海鳥の観察に時間が取れませんでしたが、アラスカの海に生きる哺乳類・野鳥を満喫した小型チャーター船による素敵な船旅でした。

船のダイニングにも海鳥、Alaskan BeerのIsland Ale。でもパフィンはこの海域にはいません!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photo courtesy of Morihiko HAYAKAWA

Observation: July 2023, Inside Passage, Alaska, USA

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天売島2023・ウミガラス観察近況

オロロン鳥ことウミガラス Common guillemot の日本で唯一の繁殖地となっている天売島では、今年もウミガラスが餌を巣に持ち帰る姿が確認されました。餌を持ち帰るということは、ヒナが順調に生まれているということです、非常にうれしいですね!初めて確認をしたのは7月8日になりますので、ウミガラスの繁殖時期は例年通りのようです。

また、今年は繁殖地になっている洞窟では、デコイと本物のウミガラスを合わせて非常に窮屈になっており、まるで東京の満員電車のようです。

その為か、今年は7月に入ってから繁殖地の洞窟とは別に赤岩本体にも止まっている個体が頻繁に確認されています。

赤岩では、ヒメウ Pelagic cormorant も繁殖しており、隣の窪みに沢山集まっていました。この場所は陸上からは確認できない場所にあるため観察ができるのは、海鳥観察用の船の上からだけになります。

ウミガラスが集団で飛んでいる姿や、50羽ほどで海に浮いている姿も確認できていますのでウミガラスの観察は良好です。

群れで飛ぶウミガラス

群れで浮かぶウミガラス

一時は13羽まで減ってしまったウミガラスですが、個体数は順調に増えています。ただ、今年も繁殖場所は1か所のみと、繁殖場所の増加は確認されておりません。1か所だけだと天敵が現れるなど何かあった際に個体数が激減してしまうことも懸念されますので、次は繁殖場所が増えていってくれることを祈ります。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido

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天売島で人気のウミスズメ科の鳥3種類(ケイマフリ、ウミガラス、ウトウ)共通の特徴

天売島を訪れるバーダーの間で人気があるウミスズメ科の鳥たち3種類、ケイマフリ(Spectacled guillemot)、ウミガラス(Common guillemot)、ウトウ(Rhinoceros Auklet)の共通の特徴をご紹介します!

 

①魚は咥えたまま運びます

天売島では、80万羽生息するウトウが一斉に夕方帰巣する様子を観察するナイトツアーがシーズン中(4月ごろ~7月いっぱいくらいまで)が毎夕行われています。観察のメインとなるのはヒナに与えるために大きな魚を咥えてくる様子です。これは、ウミスズメ科に共通する特徴で、水の中で泳ぎながら獲物を飲み込むことのできる彼らは一度飲み込んだ獲物を吐き出してヒナに与えることが出来ません。そのため、大きな餌を咥えたまま飛び、巣まで持って帰ってきます。

魚を銜えて飛ぶウミガラス。

中でもウトウはヒナに餌を与えるタイミングが夕方の一斉に帰巣をする1日1回のみのため、銜えてくる魚の数がとても多いのです!

 

②羽が短く、飛び立つには助走が必要です

ウミスズメ科の鳥たちは海での潜水の際、水中でも羽ばたくようにして泳ぎます。その為、水中で抵抗にならないよう同じ大きさの他の鳥たちに比べて羽が短く、小さくなっています。

ケイマフリの羽。

ウトウの羽の大きさと、天敵・ウミネコの羽の大きさを比べると一目瞭然です。

このため翔能力も高くなく、空中では羽ばたく回数が同じ大きさの鳥に比べて非常に多いのが特徴です。また、海に浮いている状態から大空へ飛び立つ為には勢いをつけるため助走が必要です。

中でも助走の際に赤い足の輝くケイマフリの姿は、非常に美しいです。目の前で、ケイマフリの飛び立ちを観察できるのは海鳥観察用の小型ボート「ケイマフリ号」の早朝クルーズだけです。天売島にいらっしゃった際はぜひこの美しさを体感してください!

「ケイマフリ号」から海鳥を至近距離で撮影。「ケイマフリ号」は海鳥撮影に最適のボートです。

”天売ブルー”の海に浮かぶケイマフリ号。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Islaand, Hokkaido

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海鳥の聖域・天売島で繁殖する海鳥たち(北海道)

2023年の初夏を天売島で過ごした姫野より、まさに「海鳥の聖域」と呼ぶにふさわしい天売島で繁殖する海鳥たちを紹介いたします。

ウミガラス(オロロン鳥)英名:Common murre, Common guillemot

足が体の後方にあるためペンギンのような見た目が特徴的です。日本国内では天売島の赤岩近くにある崖の洞窟1か所のみで繁殖します。繁殖場所の洞窟を観察できるのは海上からのみになりますが、赤岩展望台などから海上に浮かぶ姿も確認できることもあります。2002年には13羽まで数を減らしましたが、今では100羽を超え、数は増加傾向です♪♪

ウミガラス

ウミガラス

 

ケイマフリ 英名:Spectacled guillemot

赤い足と赤い口の中がとってもキュートなケイマフリは、天売島南西~北側にかけて広がる崖の隙間で繁殖します。水面を走るように助走をつけて飛び立つ瞬間は、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの真っ赤な足が最も美しく輝く瞬間の一つです。早朝の海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号では、すぐ目の前で観察できます。

赤い足で海面を蹴って助走するケイマフリ

赤岩展望台より

 

ウトウ 英名:Rhinoceros auklet

英名のrhinocerosは、サイを意味しその名の通り天売島にやってくる4月~7月の繁殖期の時期にのみサイの角のような突起物が現れます。天売島では、現在80万~100万羽ほど繁殖をしているといわれており、夕方日暮れと共に一斉に帰巣する姿は圧巻です。鳥の仲間では珍しく、陸上に穴を掘って巣を作るため、帰巣の際には比較的近くで観察できるのも魅力の一つです。

夕日の中、帰巣するウトウ

雛に魚を運ぶウトウ

 

ウミスズメ 英名:Ancient murrelet

天売島では、毎年5月下旬から6月上旬にかけて海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号から姿が確認されています。多いときは10羽ほどの群れを形成し、動物プランクトンなどを捕食しています。潜水頻度も高く体も小さいため、波のうねりが高い日の観察は非常に難しいです。日本国内での繁殖は天売島のみと言われています。

ウミスズメ

ウミスズメ

 

ヒメウ 英名:Pelagic Cormorant

普段は外洋に生活するウの仲間で、天売島にやってくる繁殖期は全身の羽が非常にきれいな光沢を纏い、嘴の根元は赤く染まります。非常に細かい巣材を唾液や泥を使って固めながら、崖のちょっとしたでっぱりや窪みに巣を作ることが出来るため、哺乳類などの天敵は巣に近づくことが出来ません。

ヒメウの巣 モフモフの雛の姿も

巣材を運ぶヒメウ

 

ウミウ 英名:Japanese cormorant

日本全土に広く分布するウの仲間。繁殖期には、頭の周りが白くなります。ウの仲間は視界の悪くなる水中深くに潜って狩りを行うため、暗視時に見やすい青色の瞳をしています。水中で泳ぎやすいように体表の油分が少なく、泳いだ後は体を乾かすために岩場で羽を広げる姿が観察できます。

ウミウ

ウミウ

 

ウミネコ 英名:Black-tailed gull

黄色い足と黒い帯の入った尻尾が特徴のカモメの仲間。天売島では近年、急激に数を増やしており推定巣数は2年前(2021年)の約2倍にあたる5000個(2023年)ほどと推定されています。ウミネコの一大繁殖地になっている黒崎海岸は、フンで黒い岩が真っ白になったため「白崎海岸」と呼ばれるほどです。

ウミネコ

ウミネコ

 

オオセグロカモメ 英名:Slaty-backed gull

ピンク色の足と真っ白な尻尾が特徴の大型のカモメ。天売島では生物ピラミットの頂点に君臨する生き物で、体長38cmほどのウトウの成鳥をも丸飲みします。その他、ウミネコの雛、マムシ、ウニなども大好物で町中にウニの殻が落ちていたらこのオオセグロカモメが食べた残骸であることが多いです。

ウニを食べるオオセグロカモメ

このオオセグロカモメ、ウトウを丸飲みした直後で、口から翼があふれ、胸がウトウで膨れています!!

 

Photo & report  : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido, Japan

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(動画)ベーリング島のウミガラス(コマンドルスキー諸島)

コマンドルスキー諸島 Komandorski Islandsのベーリング島沖にあるアリーカメン岩礁 Ariy Kamen Rock で観察したウミガラスの動画です。

ここはとても透明度が良かったのでGo proを海につけてみました。意外と水中のウミガラスが撮れていたのでうれしかったです ♪

Common Guillemots at Ariy Kamen, Komandorski|コマンドルスキー諸島・アリーカメン岩礁 水中のウミガラス

Videography  : Matiko SAWADA

Obeservation : Aug 2019, Ariy Kamen, Bering Island, Komandorski Islands, Russian Far East

ベーリング島のウミガラス(コマンドルスキー諸島)

極東ロシア、アリューシャン列島のロシア側の島はコマンドルスキー諸島 Komandorski Islands (英語ではCommander Islands)で、ベーリング島 Bering Island とメードヌイ Medny Island の2つの島といくつかの小さな島・岩礁から成り立っています。

そのうち、ベーリング島の沖にあるアリーカメン岩礁のウミガラスの繁殖地をご紹介します。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (11)

訪れたのは8月半ば、ウミガラスは繁殖真っただ中でした。岩のテラス、割れ目を利用した大繁殖地です。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (5)

お魚をくわえたウミガラス。雛は岩と親鳥の間にいてとても見えにくいのです。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (7)

周辺の海はウミガラスだらけ。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (9)

ウミガラスの群れに近づき、Go proを海につけて水中を見てみました。

水中のウミガラス Common Guillemot under water Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (2)

一生懸命魚を探しています。水かきもかなりのスピードで動かしていました。

水中のウミガラス Common Guillemot under water Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (1)

翼を使って水の中を「飛び回る」ウミガラス。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (6)

ハンティングに成功したウミガラス。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (8)

魚を縦向きにくわえて雛のところへ運んでいきます。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (2)

雛は8月下旬から9月半ばに巣立ちます。

ウミガラスの父親と雛Common Guillemot Papa and chick

巣立って「海へ落ちた」雛はお父さんウミガラスが雛が自分で餌を獲れるようになるまで育てます。お母さんウミガラスは繁殖期の最後まで「巣」の場所に残り自分の場所であることを主張し、そして海へと旅立つそうです。

 

Image & text :Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Ariy Kamen, Komandorski Islands, Russian Far East

ベーリング島で観察した海鳥たち(コマンドルスキー諸島)

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (10)

8月半ばのコマンドルスキー諸島、ベーリング島のアリーカメン岩礁で観察した海鳥をまとめてみました。この時期には繁殖が終りもう海に出ているシラヒゲウミスズメやウミオウムもいれば、繁殖期真っただ中のウミガラスやエトピリカ、そして渡りの途中のハシボソミズナギドリの姿も。そして個体によってはもう冬羽へ移行中です。

ツノメドリ Horned Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (9)

ツノメドリ Horned Puffin

ツノメドリ Horned Puffin はベーリング島、メードヌイ島でも繁殖し、コマンドルスキー諸島ではあちこちで見ることができます。

ハシブトウミガラス Brünnich's Guillemot コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (17)

ウミガラス Common Guillemot とハシブトウミガラス Brünnich’s Guillemot

繁殖地にいるウミガラス Common Guillemot とハシブトウミガラス Brünnich’s Guillemot(真ん中の個体)です。この2種は非常に似ていますが、ハシブトウミガラスはくちばしの根もとに白い線が入ることで見分けています。2種とも極東ロシアの島で繁殖しています。

ミツユビカモメ black-legged kittiwake コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (1)

ミツユビカモメ Black-legged kittiwake

ミツユビカモメ Black-legged kittiwakeは千島列島~カムチャッカ半島~コマンダー諸島と極東ロシアで広く分布し、ウミガラスと同じ環境に繁殖しています。

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwake コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (6)

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwake

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwakeは珍しいカモメの仲間で、コマンドルスキー諸島、アリューシャン列島、プリビロフ島などで繁殖する、いわば「ベーリング海」固有種。赤い脚が本当に可愛らしい、コマンドルスキー諸島で必ず見たい海鳥です。ミツユビカモメに混じって繁殖しています。

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (4)

エトピリカ繁殖地 Tufted Puffin breeding ground

アリーカメン岩礁は高さ2~45mの高さの異なる小さな島です。低い場所はウミウ、チシマウガラス、チシマシギなどが見られ、垂直の岩場はウミガラスやミツユビカモメが繁殖し、島の上部の草地にはエトピリカが穴を掘って繁殖しています。

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (16)

エトピリカ Tufted Puffin

エトピリカは繁殖ステージが遅い目で9月の上旬でもまだ魚をくわえて巣に運ぶ様子が見られます。アリーカメン岩礁に近いトポルコフ島は10万羽のエトピリカの繁殖地です。

ヒメウ Pelagic Cormorant コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (8)

ヒメウ Pelagic Cormorant

ヒメウ Pelagic Cormomrantは、少し低い目の岩場で繁殖しています。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (13)

チシマウガラス Red-faced cormorant

ウミガラスに囲まれた真ん中付近にいるのがチシマウガラス Red-faced cormorant。

コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (20)

ヒメウもチシマウガラスも岩場の低い場所で繁殖し、時にはウミガラスに圧倒されています。この写真にはトドが映っていますね!満潮時に岩に上がったようですが、潮が引いてしまいました。

チシマシギ Rock Sandpiper コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (5)

チシマシギ Rock Sandpiper

チシマシギ Rock Sandpiper はシギとしては分布範囲の狭い種で、コマンドルスキー諸島、アリューシャン列島、チュコトカ半島などで繁殖しています。千島列島ではあまり見ることはない種で、コマンドルスキー諸島でぜひ出会いたい海鳥です。8月半ばにはもう冬羽への移行なのですね。

ウミバト Pigeon Guillemot コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (7)

ウミバト Pigeon Guillemot

お魚をくわえたウミバト Pigeon Guillemot 。ウミバトは極東ロシアではあちこちで繁殖していますが、コマンドルスキー諸島ではあまり大きな群れには出会いませんでした。このお魚をくわえた構図が撮りやすい海鳥です。口の中も赤く、足と口の中の赤色を同時に見せてくれることもあります。

ウミオウム Parakeet Auklet コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (12)

ウミオウム Parakeet Auklet

そしてこちらは、後ろ姿だけですがウミオウム Parakeet Auklet。群れは作らず2~3羽で観察されることが多い海鳥です。

シラヒゲウミスズメ Whiskered Auklet コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (13)

シラヒゲウミスズメ Whiskered Auklet

こちらは・・・大好きなシラヒゲウミスズメ Whiskered Aukletです。シラヒゲウミスズメは千島列島のクルーズでヤンキチャ島の繁殖地を訪問することができますが、その他で出会ったのはアリューシャン列島のアクタン島海域だけでした。ベーリング島のニコルスコエにある博物館の資料でシラヒゲウミスズメがコマンドルスキー諸島で繁殖していることになっていましたが、観察できたのは初めてでした!

ハイイロヒレアシシギ Red phalarope コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (14)

ハイイロヒレアシシギ Red phalarope

渡りの途中のハイイロヒレアシシギ Red phalarope。夏にユーラシア大陸、アメリカ大陸北部の北極圏で繁殖し、冬にはアフリカや南米までの長距離の渡りをします。アリューシャン列島、コマンドルスキー諸島で夏に観察されます。

ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwater コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (15)

ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwater

そしてこちらも長距離の渡りをする ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwaterの群れ。ベーリング海までオキアミを求めてはるばるオーストラリア南東部・タスマニアからやってきます。コマンドルスキー諸島もザトウクジラが見られ、オキアミを求めてハシボソミズナギドリもやってくるわけです。

ここまでで14種の海鳥を1時間30分ほどのゴムボートのクルーズで観察しました。渡りの鳥は北半球のアホウドリ3種含め、詳しい人が見たらもっと見つかるのだと思います。

これだけの海鳥が暮らせるということは、豊富な魚資源があるということ。コマンドルスキー諸島は本土から遠方すぎるため漁業は発達しておらず、村の人は遡上するサケからイクラをとる程度。停泊中にカムチャッカ半島では見れない位大きなオヒョウを釣ったこともあり、この人を近寄らせない「距離」が魚と海鳥の聖域を作り上げているのですね。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : Aug 2021, Ariy Kamen, Komandorski Islands, Russian Far East

(動画)エトピリカ乱舞するトポルコフ島(コマンドルスキー諸島)

極東ロシア、コマンドルスキー諸島トポルコフ島のエトピリカ。強風の中、繁殖地に離発着するエトピリカの様子です。

トポルコフ島のエトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island|西遊旅行

Videography : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Toporkov Island, Commander Islands, Russian far East

エトピリカ乱舞!トポルコフ島上陸(コマンドルスキー諸島)

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(9)

極東ロシアのコマンドルスキー諸島、トポルコフ島で見た”エトピリカの乱舞”。

トポルコフ島はコマンドルスキー諸島最大の島・ベーリング島の北西の沖4キロに位置する無人島。直径800mほどの平らな島で、夏は海鳥が繁殖しています。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(12)

8月半ば、風がとても強い日にトポルコフ島に上陸。母船からゴムボートに乗り、波の間をくぐっての上陸です。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(13)

上陸した海岸で待っていたのはこの景色、エトピリカ・オンザビーチ。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(1)

どこを見てもエトピリカだらけです。このトポルコフ島の名前<Toporkov>はエトピリカを表します。まさに「エトピリカ島」。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(2)

海岸に並ぶ、エトピリカ。

1920年代にトポルコフ島に養狐のためキツネが持ち込まれ、その結果エトピリカを含む海鳥が激減しました。1993年、生態系回復のためキツネを駆除し、海鳥の保護が始まりました。2019年現在のトポルコフ島には5万ペア、10万羽のエトピリカが繁殖していると考えられています。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(3)

トポルコフ島は平らな島で、一番高いところで標高9mほど。その島の草地にエトピリカは巣を作り、草がない場所は離発着場になっていました。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(4)

少し高い場所にある繁殖地を見ることができるように観察用のテラスが設けられていました。そこから間近にエトピリカを観察。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(5)

エトピリカが離発着を繰り返しています。参加者のみなさんは、くちばしに魚をくわえたエトピリカを撮影しようとがんばっていました。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(7)

営巣地の上空を飛ぶエトピリカ。この日は風が強く、飛ぶというよりホバリング状態。エトピリカたちが遊んでいるかのような光景でした。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(8)

乱舞するエトピリカ。繁殖期真っただ中のエトピリカ。コマンドルスキー諸島では9月半ばまで魚をくわえて巣に向かうエトピリカの姿が見られます。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Toporkov Island, Commander Islands, Russian far East