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ラオス 竜の奇跡

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ラオス

ラオス 竜の奇跡

 

Say Namlai

監督:熊澤誓人
出演:井上雄太、ティダー・シティサイほか
日本公開:2017年

2017.6.14

日本人が失いつつある感覚がラオスから薫る・・・日本・ラオス初合作映画

急激な都市開発が進む2015年・ラオス。田舎が嫌だと農家の実家を飛び出した若き女性・ノイは、憧れだった首都・ビエンチャンで都会的な日々を過ごしていますが、理想と現実のギャップに鬱々とした日々を送っています。そんな中、週末のダブルデートの最中に一人だけ55年前の内戦中のラオスにタイムスリップしてしまいます。ダム建設調査のためラオスに来ている日本人青年・川井と出会ったノイは、1960年の農村の住民たちや川井と共同生活を送ることになります・・・

ラオスサブ3

ラオスは海がなく、川とともに生きている。ある登場人物が劇中で語る通り、未来や過去のことよりも今その瞬間を楽しんで生きようとするラオスの人々の様子は、私たち日本人が原風景(ラオスの主食はもち米で、稲田の光景も見られます)を目の前にしているかのように、心が洗われる気持ちにさせてくれます。

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「日本はどんな国か?」というラオスの子どもたちの質問に川井が回答するシーンで、川井は四季について語ります。雨季・乾季しかないラオスの子どもたちは、四季を知識としては知っていますが感覚としては分かっていません。この描写は、それぞれの国には独自の感性があり、オノマトペ(擬声語)ひとつをとっても、その国の風土に深く根付いているということを思い出させてくれました。イヌイットが雪を表す言葉を、アマゾンのジャングルに暮らす人々が緑を表す言葉を多く持つように、ラオスにも川の流れを表す言葉がきっと数多くあるのでしょう。

本作の見所のひとつは何と言ってもキャストの言語面での努力でしょう。私が昔アラビア語を習った時、先生が「アラビア語以上に、タイ・クメール・ラオス語は日本人にとって習得が非常に難しい」と言っていたのを覚えていますが、井上雄太演じる川井のラオス語はとても良い響きで映画に優しさを生んでいます。

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1960年と2015年の比較という時代設定も多くを語ってくれます。前者は東京オリンピックの4年前、日本の高度経済成長期、ラオスの内戦時代。後者は日本の戦後70周年・東京オリンピック5年前、ラオスの高度経済成長期。この映画を2017年というタイミングで鑑賞するということは、大きな変化に決して飲み込まれない心の支えを私たちに与えてくれるでしょう。

史上初、日本・ラオス初合作映画『ラオス 竜の奇跡』。6月24日(土)より有楽町スバル座にてロードショーほか全国順次公開。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。

悠久のメコンを行く
ルアンサイ・クルーズと古都ルアンパバーン8日間

タイとの国境の町ファイサイからルアンパバーンへ。大河メコンを下るパクウ号は、フランスとラオスの合弁会社によって運航される豪華ボート。乗客定員は20~40名、全長34m、ソファシートを配置したラウンジにはバーも備え付けられており、ゆったりとお過ごしいただけます。途中、停泊する河沿いの村では、生き生きと暮らす人々の生活や素朴な田舎の風景を垣間見ることができます。