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世界でいちばん美しい村

ビラ表面2 (C)Bon Ishikawa

ネパール

世界でいちばん美しい村

 

監督: 石川梵
出演: ネパール・ラプラック村の人々
公開: 2017年

2017.3.8

深い悲しみの底から、新たな芽を・・・
ヒマラヤで輝かしい心を受け継ぐ人々

2015年4月にネパールで大地震が起き多くの被害が発生したことは、日本でも大きなニュースとして取り上げられました。地震直後、首都・カトマンズでもまだ混乱が続く中、石川梵監督は震源地であるラプラック村に2日間かけて向かいます。ほとんどの建物が倒壊して壊滅状態のラプラック村では、自然災害の理不尽さに負けず、強く優しく生きようとする人々がいました・・・

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このドキュメンタリーを見ながら私が思い出したのは、古代中国の哲学者・老子が著作に記した「小国寡民」という言葉でした。これは、国の理想的な形は国民の少ない小さい国で、自分の国にいるだけで満ち足りた生活を送ることができる理想郷の考え方を示した言葉です。

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自分が食べているものをおいしいと思い、着ているものを美しいと思い、住まいにくつろぎを感じ、国民は遠くに移り住むことを考える必要もない・・・もし国家に住む人々が皆そう思うようになれば、自分の国にいるだけで幸せに生涯を全うできるのではないか。春秋戦国時代という戦乱の世の中で、老子はそのように想像しました。

現代社会ではかなり極端で実現不可能な考え方に聞こえますが、生まれ育った場所を捨てるか捨てないかの選択に迫られたラプラック村の人々の反応は、小国寡民という考え方の根本にある「足るを知る」という生き方があながち夢物語ではないと私たちに思わせてくれます。

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ラプラック村の多くの人々は「いつ村が土砂崩れに飲まれてもおかしくない」と専門家に死の危険性を指摘されても「また地震がきても運が良ければ助かる、ダメだったらそれまでだ」と、そのまま留まることを選択します。危険を回避するという功利的な選択より、地震によって命を奪われた人々や祖先の魂に寄り添って暮らすほうが、彼らの人生の充足感につながるのでしょう。

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そうしたラプラック村の精神の一片を、劇中でひときわ印象的なボン教の儀式から感じ取れることができます。仏教が根付く前の土着の精霊信仰を中心に据えているボン教は、まるで一人ひとりの体から土地へ向かって根をはりめぐらしていくかのような儀式を行います。

ある儀式では、土地の記憶と魂に捧げるマントラ(真言)の中を泳ぐように、少女たちが目をつぶって足を一歩一歩前へ進めていきます。彼女たちが目をつぶっている先には、心の中に宿る理想郷・ラプラック村のイメージが見えているのでしょう。

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『世界でいちばん美しい村』は2017年3月25日より(土)より東劇ほか全国順次公開。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。

ネパールの山旅

神々の棲む国ネパール。白き峰々が織りなす憧れのヒマラヤへ・・・

リトル・ブッダ

ネパール・ブータン

リトル・ブッダ

 

LITTLE BUDDHA

監督:マルズィエ・メシュキニ
出演:ファテメ・チェラゲ・アザル
日本公開:1994年

2016.3.9

ブッダを追い求めて、
映画のような街並みへ

アメリカに住むある少年が、ブータンから来た僧に「高僧の生まれ変わり」であると突然告げられることからドラマが展開。少年が父とともにブータンを訪れる現代の物語と、シッダールタ王子が悟りを開き仏陀となる過去の物語が、極彩色の映像美で交互に描かれます。そんな映画の雰囲気をそのまま味わえる場所が存在します。ひとつはブータンのパロ・ゾンで、そのままの設定で劇中に登場します。そして釈迦が育ったカピラヴァストゥに見立てられているのがカトマンズ近郊のバクタプルで、ドイツの援助で古き良き街並がきれいに保存されており、二千五百年前の設定でそのまま映画の撮影に使われたのも納得です。「ラストエンペラー」も監督したベルナルド・ベルトルッチはこの作品でも終始独特な視点で物語を見つめています。物語の中でチベット仏教の世界観がうまく説明されており、チベット仏教圏にこれから行こうと思っている方には特におすすめです。

ネパール大紀行

ヒマラヤからタライ平原までネパールの全て、ゆとりの旅。山岳遊覧飛行で空から、ハイキングで丘から、絶景ロッジで部屋から、 至るところでヒマラヤの雄姿をお楽しみいただきます。

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バクタプルの旧市街

ロケ地の一である、ネパールのカトマンズ盆地にあるバクタプル。889年にアナンダ・デヴ王によって築かれ、12世紀~18世紀の間、首都の一つとして栄えました。ネワール族の美しい建築物や彫刻、赤レンガ造りの趣ある中世の街並みを残す古都です。