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漂うがごとく

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ベトナム

漂うがごとく

 

Choi voi

監督:ブイ・タク・チュエン
出演:ドー・ハイ・イエン、リン・ダン・ファムほか
日本公開:2016年

2018.8.29

ベトナムの湿潤な空気の中で、ゆっくりと熟成されていくひとときの迷い

ハノイで旅行ガイド兼通訳として働くズエンと、彼女より3才年下でタクシードライバーのハイは、出会って3ヶ月で結婚した。

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後日、ズエンは結婚式に来られなかった女友達・カムを訪ね、体調が悪いカムの代わりに手紙をトーという男に届けに行くことになる。ズエンは手紙を届けた時トーに襲われてしまうが、しだいにマジメでおとなしいハイとは真逆で野生的なトーに魅了されていく・・・

本作は、ベトナム本国では2009年に公開された作品です。公開されてからの約10年で、ベトナム社会はさらに大きく経済発展をとげました。題名に「ごとく」と入っているように、ハノイの町の様々な事物が比喩的に映されていきますが、特にズエンの夫・ハイが運転するタクシーがハノイの渋滞や洪水の中でも走り続ける様子からは、当時のベトナムの趨勢を感じることができます。

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経済発展による格差の拡大や倫理観の変容を描く一方で、このコラムで過去に紹介した『夏至』のように、ベトナムの湿潤な空気とその「温度」が映画全体に浸透しています。観光地として有名なハロン湾でのシーンは、登場人物たち自身が物理的に漂っているだけでなく、心の揺らめきが表されています。

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本作を見て私は「かたつむり そろそろ登れ 富士の山」という小林一茶が詠んだ俳句を思い出しました。主人公のズエンは自分がした「結婚」という選択についてゆっくりと考えを巡らせます。カメラ・写真・映像が近年手軽なものとなり風景までもが消費されてしまいがちですが、一茶の俳句のように、ズエンの漂流する心はいつのまにか景観の中に誘い込まれ熟成されていきます。

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自分の声にじっくりと耳を傾けてみることの価値を教えてくれる『漂うがごとく』は、9月から12月にかけて東京・神奈川・愛知・大阪で開催されるベトナム映画祭で上映後、各地劇場に配給予定。詳細は公式ホームページをご覧ください。

ビクトリア・エクスプレスで行く 少数民族の里サパとAUCO号で過ごす 世界遺産ハロン湾の旅

豪華客船と寝台列車で巡る優雅なベトナムの旅

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ハロン湾

ベトナム北部、トンキン湾北西部にある湾。大小3000もの奇岩や島々が存在する。中国がベトナムに侵攻してきた時、竜の親子が現れて敵を破り、口から吐き出した宝石が湾内の島々になったと伝えられている。

草原に黄色い花を見つける

5cd5b64207ca28de(C)2015 Galaxy Media and Entertainment. All rights reserved.

ベトナム

草原に黄色い花を見つける

 

Toi Thay Hoa Vang Tren Co Xanh

監督:ヴィクター・ヴー
出演:ティン・ヴィン、チョン・カン、タイン・ミーほか
日本公開:2017年

2017.8.2

ベトナムのベストセラー小説を元にした、淡い初恋の物語

1989年、ベトナム中部・フーイエン省に暮らす仲良し兄弟のティエウとトゥオンは、貧しいながらものどかな自然の中で動植物にふれながら楽しく暮らしている。12歳になる兄・ティエウは、幼なじみの少女・ムーンのことが気になっているが、うまくその思いを言葉にできない。そんなある日、ムーンの家が火事で焼け落ちてしまう。ムーンはしばらくの間ティエウとトゥオンの家で過ごすことになり、ティエウの恋心は募っていく。しかし、ムーンとトゥオンの仲が深まっていくにつれて、ティエウの心に嫉妬の感情がうまれてくる。

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本作は、まだあどけなさの残る表情を見せる俳優たちの姿から、あるがままに物事を感じることの大切さを観客に思い出させてくれる作品です。

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私は昨年この映画の舞台であるベトナムに訪れた時、葬式の列に遭遇しました。その時、「あの賑やかな列は何かの祭りか?」と私は友人に尋ねました。友人は、「あれは祭りではなく葬式だ」と私に教えてくれました。「祭り」という私の認識自体は間違いでしたが、祭りだと信じ込んでいた時に私の体を流れていた感覚は、間違いというわけではありません。

旅をする時に勉強しなければわからないことは多いです。私もチベット仏教圏に多く添乗業務で足を運んだ時は、日本の仏教とは大きく異なる尊格や仏像の印相を勉強しました。もちろん知識があると色々なことがわかるようになりますが、形にばかりに気を取られていると本質を見落とす危険性があることを、多くの素晴らしい美術・遺跡・建築などから学びました。

本作の劇中では、大人が子どもに知識を伝えることや、大人の都合によって子どもの感性が失われてしまうことが象徴的に表現されます。頭のなかに渦巻く思いを、うまく言葉にすることができない・・・そうしたもどかしさは、まだボキャブラリーが限られている子どもだけでなく、大人にも時々わき起こります。緑の草原に黄色の花の道標を見つけるという詩的な題名は、そうした複雑な心持ちの中に宿る美しさを意味しているのではないかと、私には思えました。

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『草原に黄色い花を見つける』は、8月19日(土)より新宿武蔵野館にてロードショーほか全国順次公開。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。

夏至

ベトナム

夏至

 

A LA VERTICALE DE LETE

監督:トラン・アンユン
出演:トラン・ヌー・イエン・ケーほか
日本公開:2001年

2016.3.10

雨と緑が映える、
絵筆で書いたようなベトナム映画

旅先で雨が降ると少し憂鬱になってしまうこともあるかもしれません。しかし、この映画を見ると雨の降る音にも色々あり、雨粒が落ちる場所によって音が違うことに気付かされます。ストーリーは三姉妹を主人公として、夫婦間の愛憎などヘビーな内容も含んでいるのですが、そうした展開も劇的にはならずにさらりと流れていきます。流れていくというよりも、ハロン湾の奇岩の中に大の字で浮かぶ登場人物のように、ストーリーはどこに行くでもなく、ただ浮かんでいるだけなのかもしれません。雨がたくさん降り、草花が茂って、湿度で人々は汗をかき、暑さを和らげるかのように簾が風にかすかに揺れる…というように、登場人物たちが過ごす環境が綿密に構成された映像・音響で表現され、映画に浮力をもたらしているのでしょう 。東南アジアの湿度が伝わり、冬に観ても知らないうちに体があたたまっているような不思議な鑑賞体験ができるかもしれません。

世界遺産ハロン湾2泊3日の豪華クルーズと陸のハロン湾ニンビン訪問の旅

豪華客船AUCO号でハロン湾クルーズ楽しむGW企画。2014年新たに世界遺産に登録された古都ホアルー、チャンアンも訪問。ニンビンでは古民居風ホテル「エメラルダ・リゾート」に宿泊。

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ハロン湾

ベトナム北部、トンキン湾北西部にある湾。大小3000もの奇岩や島々が存在する。中国がベトナムに侵攻してきた時、竜の親子が現れて敵を破り、口から吐き出した宝石が湾内の島々になったと伝えられている。