「旅と映画(たびとえいが)」神保慶政監督 | 秘境ツアーのパイオニア「西遊旅行」

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子供の情景

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アフガニスタン

子供の情景

 

بودا از شرم فرو ریخت‎,

監督:ハナ・マフマルバフ
出演:ニクバクト・ノルーズほか
日本公開:2009年

2016.6.1

若きイランの女性監督がどうしても伝えたかったアフガニスタンの姿

舞台はアフガニスタンのバーミヤン。アフガニスタンでロケが行われた映画はそもそもあまりないのではないかと思いますが、その中でも2001年にターリバーンによって仏像が爆破されたバーミヤンで撮影されたのはおそらくこの映画ぐらいでしょう。

6歳の少女・バクタイは学校に行きたいと言って家を飛び出し、小さな旅が始まります。なんとかノートを手に入れて学校に向かうものの、途中でターリバーンを真似て戦争ごっこをする少年たちに巻き込まれてしまいます。映画公開当時まだ10代だったハナ・マフマルバフ監督は、少女の視点で見た世界の端々の美しさを描くと同時に、アフガニスタンが抱えている社会問題の深刻さ・複雑さを表現しています。監督はどのように演出したのか定かではありませんが、邦題の示す通り製作陣は「子供の情景」に入り込むことに徹して、キャストの子ども・大人たちに自由に演技をさせたのでしょう。重いテーマを背負いながらも、登場人物たちのとても自然で作為がない立ち振舞が映画を見やすくしています。

劇中に多くの比喩が登場しますが、ターリバーンによって破壊された仏像があった空洞もひとつの大きな比喩でしょう。何が無くなったのか、そして空洞をこれからどのように埋めていくのか。そうした比喩が込められているように思えます。この作品の原題は『Buddha Collapsed out of Shame(ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた)』ですが、アフガン内戦も9.11も仏像の爆破も、子どもたちには何の責任もありません。バクタイの年齢が2001年に生まれたか生まれていないかぐらいの6歳であるというのも、偶然かもしれませんが題名に大きな関わりがあるように思えます。

子どもの純粋さに触れてみたいという方から、じっくりと国際情勢について考えてみたいという方、教育の機会が与えられていない国の子どもたちについて考えてみたいという方まで広くおすすめできる訴求力に溢れた映画です。

霧の中の風景

landscape in the mist

ギリシャ

霧の中の風景

 

Τοπίο στην ομίχλη

監督:テオ・アンゲロプロス
出演:タニア・パライオログウ、ミカリス・ゼーナほか
日本公開:1990年

2016.5.25

生涯をバルカン半島の未来に捧げた
名匠による壮大なロードムービー

「旅」という行為の最も基本的な要素は一体何でしょうか。長回しカットを多用し、まるで神が天界から世界を見下ろしているかのような視点で映画を撮るギリシャの名匠テオ・アンゲロプロス監督は、12歳の少女と5歳の少年の旅を人生・政治・歴史など様々な事柄に対する問題提起に変身させていきます。姉弟はドイツにいる父に会いに行くと無一文でアテネ駅から電車に飛び乗り、長い旅路が始まります。時代設定は1970年代ですが、70年代でも現在でもギリシャを含むバルカン半島の政治事情は日本人にとってあまり馴染みのあるものではないでしょう。近年、バルカン諸国では経済危機に加えて難民の受け入れ問題を抱えていますが、こうした陸続きの国々の感覚は我々日本人にはなかなか掴みにくいものです。映画を通しての感覚的理解は、そうした諸問題と私たちの距離を近づけてくれるものの一つではないでしょうか。作品制作当時の時代背景を色濃く反映した悲しいストーリーではありますが、自分のルーツや安住の地を求めてひたすらさまよう本作のストーリーは、70年代のギリシャの抱えていた状況を理解するだけではなく現代グローバル社会における問題を考える上でも大切な要素を含んでおり、今でこそ人々の心に響く作品かもしれません。

無力なゆえに呆然として目の前で起こる出来事をただ傍観することしかできない姉弟ですが、旅は無情にも次の場所へ次の場所へと二人を連れてまわり、「見る」ことこそが旅であるということを教えていきます。主人公たち自身の視線と、その旅を見守る映画の視線という二重の構造によって、「見る」ことそのものについて映画は問いを立てているようにも思えます。バルカン諸国に興味のある方や、現実と非現実の狭間を行くような不思議な気持ちに浸りたい方におすすめいたします。

古代マケドニアの遺産と南バルカンの自然界遺産

マケドニア、ギリシャ、ブルガリアの3ヶ国を巡り、各地で数々の歴史遺産を見学。かつてアジアまでの東方遠征を行い歴史に燦然とその名を残したマケドニア王・アレキサンドロス大王を輩出した現在のペラ(ギリシャ)や、その父王で強国マケドニアの礎を築いたフィリッポス2世の墳墓が発見されたヴェルギナなど、古代マケドニアで特に重要な史跡を訪ねます。

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テッサロニキ

ガレリウス帝の凱旋門、7世紀のフレスコ画も残るアギオス・ディミトリオス教会、考古学博物館等、見所あふれるギリシャ第2の都市。

火の山のマリア

火の山のマリア(C)LA CASA DE PRODUCCIÓN y TU VAS VOIR-2015

グアテマラ

火の山のマリア

 

IXCANUL VOLCANO

監督:ハイロ・ブスタマンテ
出演:マリア・メルセデス・コロイほか
日本公開:2016年

2016.5.13

母として、女性として・・・
心のなかのマグマが揺れ動く

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舞台は黒く重々しい雰囲気の火山が眼前にそびえる高地。家族と農業を営み先住民の文化を受け継ぎながら暮らす17歳の少女・マリアは、アメリカに憧れている青年・ペペとの間に子どもを授かります。そして、段々と社会の歪みにまきこまれていきます。目の前に大きな火山がある環境で育てば、おそらく誰しもが自然に対して畏怖心を抱くようになるでしょう。中でマグマが揺れ動いていても、外からその様子を察することは容易なことでありません。マリアとその家族はそうした場から生まれた伝説や精霊の存在を信じて生きています。しかし、社会が作り出す貧困と格差は容赦なく彼女たちの生活に覆いかぶさってきます。また、一見黒い火山に映えるように思える民族衣装の色・柄は彼女たちの誇りであると同時に、植民地時代に民族の判別のためにつくられた印であるという歴史的経緯を持っています。

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そうした時間・空間の多重構造が押し付けがましくない形で描かれており、火山の音に耳をすましているような静かな雰囲気に浸ることができます。グアテマラの長編映画として日本で初めて公開された本作は、生きる力強さを鑑賞者に国境を超えて与えてくれるでしょう。

グアテマラ・ホンジュラス マヤ文明と世界遺産の旅

密林に眠る古代マヤ遺跡と今も息づくインディヘナの伝統文化にふれる旅。ティカル、キリグア、コパンと3大マヤ遺跡を訪問。民族色豊かなチチカステナンゴにも1泊し、日曜市を見学。

中米最高峰タフムルコ(4,220m)登頂

劇中のパカヤ火山を訪れ、火山活動を見学。中米最高峰タフムルコ登頂と、第4の高峰サンタマリア火山から迫力の火山活動を見学。グアテマラの大自然を満喫し、温泉や郷土料理も楽しむ。

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火山

写真は、劇中に登場するパカヤ山から程ない距離にそびえるアグア山を望む街・アンティグア。1979年に「アンティグア歴史地区」としてユネスコの世界遺産にも登録。

夏至

ベトナム

夏至

 

A LA VERTICALE DE LETE

監督:トラン・アンユン
出演:トラン・ヌー・イエン・ケーほか
日本公開:2001年

2016.3.10

雨と緑が映える、
絵筆で書いたようなベトナム映画

旅先で雨が降ると少し憂鬱になってしまうこともあるかもしれません。しかし、この映画を見ると雨の降る音にも色々あり、雨粒が落ちる場所によって音が違うことに気付かされます。ストーリーは三姉妹を主人公として、夫婦間の愛憎などヘビーな内容も含んでいるのですが、そうした展開も劇的にはならずにさらりと流れていきます。流れていくというよりも、ハロン湾の奇岩の中に大の字で浮かぶ登場人物のように、ストーリーはどこに行くでもなく、ただ浮かんでいるだけなのかもしれません。雨がたくさん降り、草花が茂って、湿度で人々は汗をかき、暑さを和らげるかのように簾が風にかすかに揺れる…というように、登場人物たちが過ごす環境が綿密に構成された映像・音響で表現され、映画に浮力をもたらしているのでしょう 。東南アジアの湿度が伝わり、冬に観ても知らないうちに体があたたまっているような不思議な鑑賞体験ができるかもしれません。

世界遺産ハロン湾2泊3日の豪華クルーズと陸のハロン湾ニンビン訪問の旅

豪華客船AUCO号でハロン湾クルーズ楽しむGW企画。2014年新たに世界遺産に登録された古都ホアルー、チャンアンも訪問。ニンビンでは古民居風ホテル「エメラルダ・リゾート」に宿泊。

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ハロン湾

ベトナム北部、トンキン湾北西部にある湾。大小3000もの奇岩や島々が存在する。中国がベトナムに侵攻してきた時、竜の親子が現れて敵を破り、口から吐き出した宝石が湾内の島々になったと伝えられている。

馬々と人間たち

(C) Hrossabrestur2013

アイスランド

馬々と人間たち

 

HOSS I OSS / OF HORSES AND MEN

監督:ベネディクト・エルリングソン
出演:イングバール・E・シーグルズソン
日本公開:2014年

2016.3.9

アイスランド人監督ならではの
馬中心映画

アイスランドと聞くと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。大自然・オーロラ・温泉・間欠泉・音楽などたくさんの魅力があるかと思いますが、今回はアイスランドの馬の映画についてご紹介したいと思います。馬と人の関係は太古にさかのぼります。馬は移動手段であるだけでなく兵器でもありました。皆さんも旅先で馬に関する歴史的なエピソードをよく耳にされるのではないでしょうか。この映画は、人間ではなく馬を中心に物語が展開していく個性的な作品です。アイスランド馬は、9世紀末にノルウェーから渡来して以来、アイスランドでのみ1100年以上も交雑することなく保たれてきた純血種であるそうです。アイスランドの牧畜農家は夏に馬を放牧し、秋の初め頃に村中総出で集めるそうですが、映画の中にはその様子もおさめられており、広大な自然の中で暮らす馬と人々の様子がうかがえます。この映画の特徴的な点は、題名に「馬々」のほうが先にきていることでも表現されている通り、人間も馬同様に動物だという一貫した視点です。観ている途中で馬と人間のどちらが「動物っぽい」のだろうかと思えてきます。アイスランド人の自然・動物に対する独特の距離感が生みだした不思議な雰囲気にどうぞふれてみてください。

初夏のアイスランド ヴァトナヨークトル氷河ハイキングと
インサイド・ボルケーノ

ヨーロッパ最大の氷河ヴァトナヨークトルでの氷河ハイキング。 スリフヌカギーグル火山の中へと降り立つインサイド・ボルケーノ。氷河と火山が造り出す驚異の自然を体感。

>アイスランド大周遊

オーロラ鑑賞に適したホテルに計4泊。迫力の氷河湖クルーズを楽しむ。グトルフォスの滝や間欠泉ゲイシールなど南部の見どころに加えて北部のミーヴァトン湖やアークレイリまで訪れる充実の内容。

山の郵便配達

中国

山の郵便配達

 

POSTMEN IN THE MOUTAINS

監督:フォ・ジェンチー
出演:リィウ・イェ
日本公開:2001年

2016.3.9

遠ざかっていく時間を引き止める
優しい眼差し

舞台は1980年代の中国・湖南省。長年郵便配達の仕事を続けてきた男が、息子とともに2泊3日の最後の郵便配達に出かけ、道中で息子に仕事を引き継いでいく姿を描いた作品です。中国語タイトルを直訳すると「あの山、あの人、あの犬」。「あの」という少し距離感を感じさせる言葉が示す通り、失われていきつつある伝統文化や原風景への憧憬が、作品全体にやさしく満ちています。それは、作中の見所でもある美しい田園風景、自然の厳しさ、少数民族であるミャオ族の村やトン族の踊りなど、伝統文化をとらえた映像が随所に入っているからでしょう。重い郵便袋は、郵便を渡すだけではなく配達した人からの郵便も受け取るので、いっこうに軽くなりません。しかし、作品の途中からまるで郵便袋が息子の身体になじんできているように見えてきて、郵便物の受け渡しが見えない心のやりとりであることに気付かされます。序盤では父に距離を感じていた息子も、そうしたやりとりを通じて心が満たされ、配達の道を歩きながら父との感情の距離を一歩一歩縮めていきます。とても素朴な作品ですが、まるで昔の旅の写真を見て懐かしい思い出を振り返るような、見た人にゆっくりとした時の流れをもたらしてくれる作品です。

ミャオ族・トン族の里めぐりと
春の恋愛祭り 姉妹飯節見学

山深い貴州省にくらす人々を訪ねて。一度で満喫!少数民族の「祭り見学」と「村訪問」をゆったり楽しむ旅。

星の旅人たち

(C) The Way Productions LLC 2010

スペイン

星の旅人たち

 

THE WAY

監督:エミリオ・エステベス
出演:マーティン・シーン
日本公開:2012年

2016.3.9

聖なる巡礼の道が呼び寄せた
それぞれのストーリー

旅に出る理由は人それぞれ。アメリカ人の眼科医・トムは、息子の死をきっかけに「星の平原」サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を知り、息子の遺灰をまきながら巡礼の道を歩む決意をします。道中の素晴らしい風景を見ているだけでもちょっとした旅行気分になるこの映画。スペインにおけるバスク文化や言語の多様性、ヨーロッパにおけるジプシーに対する偏見など、デリケートな問題をさりげなく鑑賞者に意識させるタッチで描かれています。トムが出会う巡礼者たちの旅の理由は、禁煙やダイエット、スランプからの脱出と様々。それぞれ目的の違った巡礼者が同じ聖ヤコブの祀られた大聖堂を目指すからこそ面白いドラマが生まれていき、自分が旅したらどんなドラマになるだろうかと思わず想像してしまいます。もう行くと決心された方も、検討中の方にも、「星の平原」に足を踏み出したくなるオススメの作品です。

聖地サンティアゴ巡礼

巡礼者に最も人気のある「フランス人の道」ラスト約114㎞を行く。少人数グループで歩き、ペリグリーノ(巡礼者)たちとの交流も楽しむ。

ポルトガル人の道から聖地サンティアゴへ

聖地サンティアゴ巡礼 第二弾。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路、「ポルトガル人の道」を歩く。巡礼ルートのラスト約115㎞を歩きます。

きっとうまくいく

インド

きっとうまくいく

 

3 IDIOTS

監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン
日本公開:2013年

2016.3.9

笑いあり、涙あり
新世代のマサラムービー

インド国内外で大ヒットしたこの作品は、お調子者の3人の青年たちが織り成す青春・友情を描いた映画です。3時間を長く感じさせない練られたストーリー展開、インド映画の醍醐味であるダンスに加え、インドの広大さ・多様さがよく表れている映画です。舞台は首都デリーから始まり、避暑地で植民地時代の教会などが立ち並ぶシムラ、そしてチベット文化圏のマナリ、ラダックと北に移っていきます。登場人物は役者本人の出自も含めて細かな人物造形がなされています。出身地や名前のジョークがあったり、ヒンディー語が得意でない生徒がいたりして、そうしたやりとりの中から「多様性の国」とも呼ばれるインドの一部が垣間見られます。同時に、劇中に登場している場所がインド全体のごく一部であることが説明されずとも分かり、残りのインドがどのようになっているのかという想像力も沸き立ちます。インドに行ったことがある方にもない方にもおすすめの一本です。

ヌブラ谷とパンゴンツォ

2つの峠を越えて ヌブラ谷とパンゴン・ツォ。貴重な立体曼荼羅が残る奥地の里、スムダも歩いて訪れます。カルドゥン・ラ(5,602m)の先に広がる「緑の園」ヌブラ谷と チャン・ラ(5,360m)を越えて「紺碧の湖」パンゴン・ツォを訪れます。

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パンゴン・ツォ

ラダックの東部からチベットへと、国境を越えて約130km横長に広る湖。標高は4,300mに位置し、澄んだ空気が生み出す青い空を映すこの湖の色は、鮮やかなターコイズブルーです。

地平線のキックオフ

エチオピア

地平線のキックオフ

 

HORIZON BEAUTIFUL

監督:ステファン・イェーガー
出演:ステファン・グブサー
日本公開:2014年

2016.3.9

1万㎞彼方の国
エチオピアを引き寄せる

メッシに憧れるサッカー少年・アドマス。彼が暮らすエチオピアの首都アディスアベバにサッカー業界の大物・フランツがやって来る。身寄りのないアドマスはプロサッカー選手になる夢を叶えるために、フランツになんとか自分をアピールしようとする…。エチオピアのサッカー少年が主人公という珍しさだけでもどんな話なのだろうとわくわくしますが、少年役の子役には劇中の設定と同じく、実際に身寄りのない少年がキャスティングされたとのこと。ポジティブなパワーを持ちながらもどこか孤独を内に秘めたような少年の存在感は必見です。ストーリーの展開以外にも、アディスアベバの街の日常を覗けるという楽しみもあります。カメラは裏路地まで入り込み、実際に現地に訪れて歩きまわっているかのようです。エチオピアというと距離が離れていて別世界のように感じてしまいますが、純粋な少年の目線で物語が展開されるので、歴史や文化を知らなくても十分に楽しんで見ることができます。
監督のステファン・イェーガーは現在次回作を準備中で、力士を夢見るスイスと日本のハーフの少年が日本を旅する映画とのこと。国境を軽々と飛び越えてくる監督の想像力をぜひ体感してみてください。

私が女になった日

イラン

私が女になった日

 

THE DAY I BECAME A WOMAN

監督:マルズィエ・メシュキニ
出演:ファテメ・チェラゲ・アザル
日本公開:2002年

2016.3.9

イランの青い海、そして黒いチャドル

「カンダハール」などの作品で有名なイランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督の妻であるマルズィエ・メシュキニ監督の作品。イスラーム社会の女性をテーマに、少女・女性・老女を主人公とした三つのエピソードで物語が構成されています。映画の舞台はペルシャ湾に浮かぶキシュ島という青い海と白い砂浜がとても綺麗な島です。この場所を映像でみるというだけでも、イランという国のイメージが一新されるような風景です。そうしたイスラームらしさがない風景の中で、自然現象や人々のセリフ・行動などを通じて、イラン社会に根付く伝統が示されます。第一部では、少女が9歳の誕生日を迎えて、チャドルをかぶらなければいけない瞬間が近づくのが日時計で表現されます。第二部は夫が自転車レースに参加している妻を追いかけてくる話で、夫は自転車を「悪魔の乗り物」と呼んでいます。第三部は、老婆が有り余った遺産を手にして、今までの人生の抑圧を解放するかのように現代的なショッピングモールで花嫁道具を買う話です。セリフも最小限で静かなタッチの映画ですが、終始映画で響いているキシュ島の波の音のように、「なぜ慣習に従わなければいけないのか」という思いが力強く映画から流れてきます。

西遊旅行退職後、数本の短編を監督の後、初長編「僕はもうすぐ十一歳になる。」を監督。国内外で好評を博し、日本映画監督協会新人賞にノミネート。(映画ストリーミングサイトLOAD SHOWにて配信中 ) 2015年新作短編「せんそうはしらない」を名古屋にて監督。名古屋ほか全国順次上映予定。y-jimbo.com