ローマでアモーレ

poster(C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC. photo by Philippe Antonello

イタリア(ローマ)

ローマでアモーレ

 

To Rome with Love

監督:ウディ・アレン
出演:ロベルト・ベニーニ、ペネロペ・クルス、ジェシー・アイゼンバーグほか
日本公開:2013年

2019.6.12

名匠ウディ・アレンが描く、永遠の都・ローマの魅力

娘がイタリア人と婚約した音楽プロデューサーのジェリー(ウディ・アレン監督本人)は、妻とローマを訪れる。
田舎者のアントニオは叔父から仕事を紹介され、婚約者のミリーとローマに移り住むことになる。
小市民レオポルドは妻・子供2人で平凡に暮らしている。ある日突然、なぜかレオポルドは「有名人」としてパパラッチに追いかけられ、朝ごはんの内容から妻の服まで、何から何までメディアに聞き回られるようになる。
アメリカ人有名建築家のジョンは、30年前に暮らしていたローマのアパートに現在暮らす建築家の卵・ジャックと偶然出会う。恋人がいるジョンには、最近気になる人がいて、ジョンはジャックにちょっかいを出しはじめる。

ローマにいる様々な人々のやりとりから、古都の姿が浮かび上がっていく・・・

『マンハッタン』『アニー・ホール』などの作品で有名な名匠ウディ・アレンは、2000年代に入ってからバルセロナ・パリ・ロンドン・ローマなどヨーロッパの人気観光都市で作品を撮りました。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世広場で交通整理をしているおじさんの案内から始まり、人気スターが競演する群像劇で物語が展開していくだけでなく、カンピドリオ広場、トレヴィの泉、ローマ・テルミニ駅、スペイン広場、ポポロ広場、コロッセウム、水道橋など、ローマの悠久の歴史が現在も脈々と受け継がれていることが映像的に表現されています。

「ローマでは、起こること全てがドラマになる」というような言葉もありますが、本作を見た後には間違いなくローマに「自分の物語」を探しに行きたくなるでしょう。歴史を押し付けがましく説明するのではなく、登場人物たちが心の中で次々とバトンタッチしていきながら、ローマという都市の過去・未来の俯瞰図を作っているかのようなストーリーテリングは、巨匠だからこそなせる業です。しかも監督は最もコミカルな(皮肉屋な)役柄を自分で演じていて、ローマという都市に対する並々ならぬ愛情が伺えます。

本作が気に入った方はぜひ『それでも恋するバルセロナ』、『ミッドナイト・イン・パリ』、『恋のロンドン狂騒曲』もご覧になってみてください。